あーとカフェ

アート

昨日、筏津芸術村にて開催された第1回あーとカフェは、大朝の画家・清水馨さんに「画家 小田丕昭の遺した作品が語りかけること」と題してお話しいただきました。

現在、ここ北広島町では町営の美術ギャラリーを創る計画が持ち上がっています。
この計画自体の歴史は古く、2005年の合併前の旧大朝町時代からあった構想です。

なぜ美術ギャラリーが必要なのか。どんなギャラリーにしていきたいか。
そこを考えるためには、何よりもまず郷土の誇りであり財産でもある芸術家・芸術作品と、それを守ろうとしてきた人々の思いを知らなければならないと企画されたのが今回のあーとカフェでした。

まず清水さんは、現在の北広島町におけるアートシーンについて紹介されました。
ここ数年で「あーとふる大朝」をはじめ、さまざまなアート関係の動きが起こり、活況を呈しています。
「体には栄養と運動が必要ですよね。それは心にも必要なんです。心にとっての栄養とは、自然や芸術にふれるということ。心にとっての運動とは、ものをつくるということなんです」
柔らかい声のトーンと、ゆったりとした間のある独特な語り口調が聞き手を引き込みます。まさに清水さんの絵画作品から受ける印象そのもの。

つづいて北広島町出身の画家・小田丕昭の『毛虫の巣』と、同町出身の画家・靉光の『眼のある風景』という作品に話は及びます。
これらの絵は太平洋戦争の直前、戦争に向かって突き進んでいく社会の中で、言論や表現の自由が弾圧され、芸術家にとってもっとも苦しい時代に描かれた作品です。軍部を批判するような絵を描くことは文字通り死を意味した時代に、芸術家として、表現者として命がけで描いた作品であるということを、静かに、力強く語りかけられました。
自身が9歳で終戦を迎えた清水さんにとって、この話は今の時代にこそ語り継いでおかなければならないという思いが感じられました。

長年、地元の新庄高校の美術教師でもあった小田氏の人柄について、清水さんは「生徒のいいところを見つける天才でした。絶対に自分の技術や考えを押し付けない。本気で、やさしいまなざしで生徒の絵を見て、必ず褒めてくれるんです」と評されました。教え子の中にはプロの画家になった人が大勢いるし、今も愛され続けている。そのような人だったと。その作品が倉庫に死蔵され、傷んでいくことに心を痛めておられました。

北広島町は芸術家やものづくりをしている人が多いと言われます。芸術家の数は人口何万人中何人いれば多いとか少ないとか、そんなふうに数えられるものではありません。前述のようなアートシーンが盛り上がりを見せたり、都会から芸術家が移住してきたり、そういった状況そのものがこの地に芸術文化の豊かな土壌があることを示しています。
小田丕昭をはじめ、多くの先人たちが拓いてきた道。その上を、今の私たちが歩いていることを忘れてはならないと思います。

最後は質問の時間でした。参加者の関心はやはり美術ギャラリー構想に関することが多く、さまざまな質問や意見が活発に交わされました。
現時点で町が出している美術ギャラリー構想は、老朽化した図書館の改修工事に合わせて、今は郷土資料室となっているスペースを改装して美術ギャラリーにするというものです。
これまで町はまちづくり懇談会や町長との意見交換会といった場で美術ギャラリー構想について説明し、意見を聞く場を設けていますが、その中で「小田丕昭さんは有名な画家ではない。価値があるのか鑑定すべきだ」という意見があったことについてどう思いますか、という質問がありました。
これに対して、清水さんは「鑑定とか、そういう次元の作品ではありません」とバッサリ。
「海の波がありますよね。目の前の波だけ見ていてはその波がどこから来たのかわかりません。耳をすませば遠い海鳴りの音も聴こえるはずです」と、深い喩えで語られました。

他に会場からは、「美術館やギャラリーは社会教育施設であり、これは10年20年かけて教育の場にしていくものだ。文化というものはそれだけではお金にならないが、そこに人が来てくれることで結果的には大きな経済効果がある」「郷土の芸術は地域の人が守っていかなければならない。その価値も地域の人がつくっていくものだ」「せっかくこの筏津芸術村があるのだから、ここをギャラリーにしてはどうか」といった意見がありました。
それらの声を受けて、清水さんが「小田先生の作品は宝物です。それを実際に見ることのできる機会、場所をつくってほしい」と話し、第1回あーとカフェは締めくくられました。

清水馨さん、貴重なお話を本当にありがとうございました。
次回の開催もお楽しみに。

(大地)

オトナイ

北広島町にある大正建築のブックカフェです。

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