エリコとダイチによる「オトナイ対談」は、私たちがふだんどんなことを大切に考えながらオトナイを運営しているかを知ってもらいたいという思いで不定期におこなっています。
ダイチ すごい雨。災害が心配です。
エリコ ある団体が支援物資を募っているので、オトナイで取りまとめて届ける計画をしてます。別の記事で案内します。
ダイチ じゃあさっそく本題に入るけど、今回は大西つねき氏のある発言を受けての緊急対談です。オトナイとしては5月に大西つねき講演会を企画していて、コロナ禍を受けて中止にしたという経緯があって、今回の発言の内容の重大性を見ても沈黙しているわけにはいかないので。
ざっと核心部分を書き起こします。
「どこまで高齢者をちょっとでも長生きさせるために子どもたち、若者たちの時間を使うのかっていうことは、真剣に議論する必要があると思います。(略)命の選別をしないとだめだと思いますよ、はっきり言いますけど。なぜかというとその選択が政治なんですよ。(略)順番として、選択するんであれば、もちろん高齢の方からいってもらうしかない。」
これ文脈から切り離して批判するなという意見もありますけど、どう切り離してもくっつけてもダメですよね。
エリコ 完全にアウト。
ダイチ 例えば僕の母も高齢で、体調が悪くなったりするといろいろ手伝ったりして時間と労力がかかることもあるけど、それって無駄なことなのかと。僕はそう思ってない。
エリコ そういう若者の労働力をコストとみなして、そこをカットして社会は幸せになれるのかっていう。普段のつねき氏の思想と矛盾してる。
ダイチ そう、そこがほんと不思議。つねき氏の講演の中で、無駄な仕事の例として穴を掘ってそれを埋めるというたとえを出していたけど、高齢者にかかわる時間ってそれとは全然違う。高齢者の時間もそこに人生があるわけじゃん。若者と高齢者の間にだって人間的な関係があるわけじゃん。それは無駄な時間なのかと。
エリコ 医療が発達して長生きできるということまで丸ごと否定せんでもええやんか。生きてるっていうことは意思があるわけじゃん。
ダイチ だからウエマツと同じ思想だっていう批判もあるよね。
エリコ 同じって言われても仕方がないと思う。
ダイチ だからこれはオトナイとしては明確に批判します。これは間違っている。
エリコ でも批判したらもう応援しないのか、支持しないのかというとそれは違う。
ダイチ ここから先は本人次第だね。
エリコ 自己検証して、どういう文脈の上でそういう発言をして、どこがダメだったのかという発信をしないといけないと思う。
ダイチ つねき氏が講演の中で取り上げるエンデの『モモ』は時間をテーマにした寓話なんだけど、読んだ?
エリコ 読んだ。
ダイチ 僕にとっても人生で5本の指に入る愛読書なんだけど、『モモ』の思想を突き詰めるとナチズムになるという批判を見たことがある。その時は意味がわからなかったけど、今回ああそういうことなのかと腑に落ちたね。時間の価値に優劣をつけてしまうってこと。でもそれは本当のエンデの思想とは違ってるんだよね。
エリコ 『モモ』の世界ではみんな平等だったじゃん。
ダイチ そうだね。
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ダイチ では話題を変えて、先日初めてラジオの取材を受けたね。最後に「コロナ禍を受けて今後の方針を教えてください」という質問があって、あっそんな質問してくるんだと思ってちょっと意外だった。で、僕が答えたのは「ここ(北広島町大朝)は田舎だけど、田舎といっても移住者や外国人などいろんな人がいて、いろんな生き方がある。そんな多様な生き方をしている人たちの受け皿になるような場所にしたい」ってこと。
エリコ もともとオトナイはそう思ってやってるよね。
ダイチ はい。なんかうちらも色々あるじゃん。田舎に暮らしてて感じるこのムラ社会のしんどさよ。
エリコ 差別、偏見、セクハラ、パワハラ、噂話・・・うんざりよ。
ダイチ そういうムラ社会のしんどさを感じてる人に特に来てほしいと思ってオトナイはやってるわけだよね。ムラ社会に迎合して生きることがそんなに苦にならない人たちは他にいくらでも行くところがあると思うんで。
エリコ ピンと来なくても、そういうメッセージを出してるところだから行ってみようと思ってくれたらいい。ほんとの真意なんかわかってもらえなくていい。
ダイチ でもすごくわかってくれる人もいるわけじゃん。そういう人が支えになってるよね。こないだそんな友達の一人と動画を撮ったじゃん。あの動画貼っていい?
エリコ いいよ。
ダイチ じゃあ貼るね。